亜硝酸ナトリウムは危険?運動会シーズンのお弁当作りから考えるウインナー・ハムの安全な選び方

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運動会や遠足のシーズンになると
お弁当箱に彩りよく並ぶウインナーやハム。
子どもも喜ぶ定番おかずですが、パッケージの原材料表示にある
「発色剤(亜硝酸Na)」という文字が気になったことはありませんか。

インターネットやSNSには
「亜硝酸ナトリウムは危険」
「加工肉には発がん性がある」
といった情報があふれていて
何をどこまで信じればいいのか
分からなくなってしまう方も多いと思います。
30年以上、看護の現場でたくさんの患者さんや
ご家族と接してきた立場からお伝えしたいのは
こうした情報を「怖い」か「安全」かで単純に二分するのではなく
公的機関がどのような根拠でどう評価しているのかを知ったうえで
ご家庭に合った選び方をしていただきたいということです。

この記事では、発色剤・亜硝酸ナトリウムの役割から
国際的な評価機関の見解、身近な野菜との意外な関係
そして運動会シーズンのお弁当作りで実践できる工夫まで
順を追って整理していきます。

目次

発色剤とは?ウインナーやハムの「あの赤み」の正体

ウインナーやハム、ベーコン
それにいくらや明太子などにも使われている「発色剤」。
その代表的なものが亜硝酸ナトリウム(亜硝酸Na)
や亜硝酸カリウムです。
名前だけを見ると身構えてしまいますが
まずはこの物質が食品の中でどんな役割を担っているのかを
整理しておきましょう。

カットされたウインナーやハムが並ぶ食卓の写真

肉の赤い色はミオグロビンという色素によるものですが
加熱や時間の経過で灰褐色に変わってしまいます。
発色剤はこのミオグロビンと結びついて
安定した赤色(ニトロソミオグロビン)を作り出し
加工肉らしい鮮やかな色合いを保つ働きをします。
あわせて、加熱加工による独特のにおいを抑え
熟成した風味を引き出す役割もあります。

見た目や香りづけの目的だけではありません。
発色剤には食中毒の原因となるボツリヌス菌の増殖を抑えるという
食品の安全性を守るうえで重要な機能もあります。
ボツリヌス菌は酸素の少ない環境でも増殖でき
毒素は加熱しても分解されにくいことがある
非常に注意が必要な菌です。
ハムやソーセージのように長期間保存され
常温に近い環境で流通することもある加工食品にとって
これは無視できない役割だといえます。

日本では食品衛生法に基づき
亜硝酸根としての残存量に上限
(食肉製品でおおむね70ppm以下、魚卵製品ではさらに厳しい基準など)
が定められており、メーカーはこの基準を守って
製造することが義務づけられています。
市販されているウインナーやハムに
「使われているかどうか」だけでなく
「量を管理したうえで使われている」という点も
あわせて知っておきたいポイントです。

なお、発色剤の使用が認められている食品は
食肉製品や鯨肉ベーコンのほか
魚肉ソーセージ、いくら・すじこ・たらこといった魚卵加工品など
法令で対象品目が具体的に定められています。
裏を返せば、対象になっていない食品にまで自由に使えるわけではなく
用途と対象品目の両面から使用が管理されているということです。

亜硝酸ナトリウムの安全性は?IARCの「グループ2A」と、実は野菜にも含まれる硝酸塩の話

亜硝酸ナトリウムについて調べると
必ずと言っていいほど登場するのが
国際がん研究機関(IARC、世界保健機関の下部組織)による分類です。
亜硝酸ナトリウムは、IARCの評価で「ヒトに対しておそらく発がん性がある」
とされるグループ2Aに位置づけられています。

ここで誤解しやすいのが、この分類の意味です。
IARCの分類は、その物質が持つ「発がん性のハザード(危害要因としての性質)」を
証拠の確からしさによって段階分けしたものであり
日常生活の中でどれくらいの量を摂ると
どれくらいリスクが上がるかという「量の評価」ではありません
。
グループが同じだからといって
リスクの大きさまで同じというわけではない点は
農林水産省の食品安全に関する資料でも整理されています。

体内で亜硝酸塩が胃酸などと反応し
発がんリスクが指摘されるニトロソアミン類に変化しうることは
事実として知られています。
だからこそ日本を含む各国は
FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)
が算出した一日摂取許容量(ADI)を踏まえて使用基準を設定し
通常の食生活で摂取される量であれば健康影響は
極めて小さくなるように管理しています。

意外と知られていないのが
亜硝酸塩のもとになる硝酸塩は
ほうれん草や小松菜、レタスといった葉物野菜にも天然に多く含まれている

という事実です。
野菜に含まれる硝酸塩の一部は
唾液中の細菌の働きなどによって体内で亜硝酸塩に変換されます。
つまり「合成添加物だけが亜硝酸塩の摂取源」というわけではなく
健康的なイメージの強い野菜も摂取源の一つになっているのです。
だからといって野菜を避ける必要はまったくありませんが
「天然由来だから無条件に安全、合成だから一律に危険」
という単純な図式では捉えきれない、というのが実際のところです。

一日摂取許容量(ADI)は、動物実験などで
「これ以上摂り続けると影響が出始める」とされる量を求めたうえで
そこに人と動物の種差やヒトの個人差を見込んだ
安全係数(多くの場合100分の1)をかけて算出されます。
つまり、実際に健康影響が懸念され始める量よりも
かなり余裕をもった水準に設定されているということです。
日本の使用基準は、この算出されたADIを大きく下回るように設計されているため
基準を守って作られた製品を通常の範囲で食べる分には
大きな安全余地があると考えられます。

「加工肉はグループ1」報道の本当の意味と、日本人の摂取量

2015年、IARCはハムやソーセージ、ベーコンといった加工肉そのものを
「グループ1:ヒトに対して発がん性がある」に分類したと発表し
当時大きく報道されました。
「グループ1」と聞くとタバコやアルコールと同列に扱われているように感じ
不安になった方も多かったのではないでしょうか。

彩り豊かな野菜と少量の加工肉を組み合わせたお弁当の写真

ただし、この「グループ1」もあくまで
証拠の確実性(発がん性があると言えるだけの科学的根拠がそろっているかどうか)
を示す分類であり、リスクの大きさそのものを表すランキングではありません。
実際にWHOが同時に公表した補足資料では
加工肉を1日50g多く食べ続けると
大腸がんのリスクが相対的に約18%上昇するという疫学データが紹介されています。
これは「加工肉を一切食べてはいけない」という結論を導くものではなく
「摂取量が多い生活を長く続けた場合に
統計的にリスクが上がる傾向が見られる」という意味合いです。

大腸がんの発症には、加工肉の摂取だけでなく
喫煙、過度な飲酒、運動不足、肥満、食物繊維の不足など
さまざまな生活習慣要因が複合的に関わっていることも知られています。
特定の一つの食品だけを取り出して「これさえ避ければ安心」と
考えるのではなく、生活全体を見渡す視点が大切です。

また、加工肉(processed meat)と
加工していない赤肉(牛肉・豚肉そのもの)とでは
IARCの評価上の分類も異なります。
赤肉は「グループ2A」、加工肉は「グループ1」とされており
塩漬け・燻製・発酵といった加工の過程そのものが
評価に影響していると考えられています。
同じ「お肉」でも、加工の有無によって整理のされ方が
違うという点は、意外と知られていません。

農林水産省の食品安全に関する資料によると
日本人のハム・ソーセージ類の平均摂取量は
1日あたり13.4g程度とされ、先ほどの疫学データの基準(1日50g)の
半分以下にとどまっています。
特定の食品を極端に多量に
かつ長期間食べ続けるような食生活でない限り
ハムやウインナーを時々のお弁当のおかずとして楽しむこと自体が
直ちに大きな健康リスクになるとは考えにくいというのが
現時点での科学的な整理と言えるでしょう。

臨床の現場で長く患者さんと向き合ってきた立場から一つお伝えしたいのは
特定の食品だけを完全に断つことよりも
加工食品に偏らない食生活全体のバランスを意識することのほうが
長期的な健康にはずっと大きく影響する
ということです。
ウインナー1本を怖がるより、野菜や主菜のバリエーションを
増やす工夫のほうに力を注いでいただきたいと感じています。

「無塩せき」「無添加」表示の見分け方と選び方のコツ

最近はスーパーでも「無塩せき」と表示された
ウインナーやハムをよく見かけるようになりました。
無塩せきとは、発色剤(亜硝酸塩)を
使わずに製造された食肉加工品を指す言葉です。
もともと「塩せき」は、食肉を塩漬けして
発色・保存性を高める伝統的な加工方法を指しており
「無塩せき」はこの工程で発色剤を
使用していないことを示す表現として
食品表示基準の中で使われています。
「無添加」がより広く添加物全般を指すのに対して
「無塩せき」は発色剤に的を絞った表現である点を押さえておくと
表示を読むときに混乱しにくくなります。

ここで一つ、よくある思い込みを訂正しておきたいと思います。
「無塩せき」「無添加」と書かれていれば全面的に安心
というわけではありません。
発色剤を使わない代わりに保存料や結着剤
pH調整剤など別の添加物が使われている商品もありますし
発色剤にはボツリヌス菌の増殖を抑える働きもあるため
無塩せき製品は一般的に保存性がやや低くなる傾向があります。
「無添加だから常温でも日持ちする」と思い込まず
表示された保存方法や賞味期限を通常以上にきちんと守る
ことが大切です。

選ぶときのポイントは、「発色剤を使っているかどうか」の一点だけで判断せず
原材料表示全体に目を通し、原料となる肉や調味の内容
保存方法まで含めて確認する習慣を持つことです。
産地や飼育方法にこだわった製品ほど
原材料表示がシンプルで読みやすい傾向がある
というのも実感として付け加えておきます。

家庭での保存にも一工夫が必要です。
無塩せき製品は保存性が下がりやすいため
購入後は冷蔵庫の温度が安定しやすい奥側で保管し
開封後はできるだけ早く使い切ることを意識しましょう。
一度解凍したものを再冷凍すると品質が落ちやすいので
使う分だけ小分けにしてから冷凍しておくと
忙しい朝のお弁当作りにも役立ちます。

すべてを置き換える必要はなく、
いつもの買い物にひとつ選択肢を
加えるくらいの気持ちで十分です。

運動会・行楽弁当で実践できる工夫と代替アイデア

運動会や遠足のお弁当は品数も多く
朝の時間も限られているため
つい手軽なウインナーやハムに頼りたくなるものです。
ここでは、完璧を目指すのではなく
無理なく続けられる工夫をいくつかご紹介します。

一つ目は「ゆでこぼし」です。
ウインナーを一度熱湯でさっと茹で
その湯を捨ててから調理する方法で
水溶性の成分の一部を減らせると言われています。
ただし、これで発色剤が完全になくなるわけではない点は
正しく理解しておきましょう。
あくまで「量を減らす工夫の一つ」という位置づけです。

二つ目は、加工肉に偏らないおかず構成にすることです。
卵焼きや鶏肉の唐揚げ、彩り野菜のおかずなどを組み合わせ
ウインナーやハムを「毎回・大量に」ではなく
「時々・適量に」楽しむ位置づけにするだけでも
食生活全体としてのバランスは大きく変わります。
冷凍の枝豆やミニトマトなど
手間をかけずに彩りを足せる食材を常備しておくのもおすすめです。

有機野菜や自然食品が並ぶキッチンの写真

三つ目は、無添加・無塩せきタイプの加工肉を上手に
取り入れることです。

無塩せきの製品は保存性にやや配慮が必要なので、
表示をよく確認し、早めに使い切ることを
意識してみてください。

四つ目は、子どもと一緒に原材料表示を眺めてみることです。
「これは色をきれいに保つためのものなんだよ」
「これはお腹を壊さないようにするためのものなんだよ」
と、難しくならない範囲で伝えてみると
食への関心を育てる小さな食育の機会にもなります。
家族みんなで表示を確認する習慣は、お子さんが将来
自分自身で食品を選ぶ力を育てることにもつながっていくはずです。

食品添加物についてさらに詳しく知りたい方は
当ブログの食品添加物に関する記事一覧
もあわせてご覧いただけると、日々の食品選びの参考になるかと思います。

日本では、食品添加物は、
食品安全委員会による評価を受けて、人の健康を
損なうおそれのない場合に限り、成分の規格や
使用の基準を定めたうえで使用が
認められています(厚生労働省「食品添加物」)。

なお、2024年4月からは、
食品の衛生基準にかかわる行政は、
厚生労働省から消費者庁に移っています。

まとめ

発色剤・亜硝酸ナトリウムには、色や風味を保つだけでなく
ボツリヌス菌の増殖を抑えるという食品安全上の役割があります。
IARCによる「グループ2A」「グループ1」といった分類は
あくまで発がん性のハザードに関する証拠の確からしさを示すものであり
日常的な摂取量におけるリスクの大きさを直接示すものではありません。
硝酸塩・亜硝酸塩は野菜にも天然に含まれており
合成添加物だけを一律に危険視する見方は、実態とは少しずれています。

日本人の加工肉の平均摂取量は
リスクが指摘される基準量を大きく下回っているのが実情です。
「無塩せき」「無添加」という表示も
絶対的な安全のお墨付きではなく
選択肢の一つとして理解しておくことが大切です。
大切なのは、特定の食品を極端に避けたり怖がったりすることではなく
原材料表示を読む習慣を持ち
加工食品に偏らない食生活全体のバランスを整えていくこと
です。
運動会シーズンのお弁当作りが
少しでも安心して楽しめるものになれば幸いです。

食と体をテーマにした看護師の教材は、
コクアマーケットで紹介しています。

参考にした資料

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この記事を書いた人

AIナースコンシェルジュ|てっぺい
30年の医療・介護経験と看護師としての知識を土台に、AIを使いこなしながら「暮らしを整えるヒント」と、AIで作ったお役立ちデジタル商品をお届けしています。
無添加食品・美容・スピリチュアルなど、テーマは様々でも軸はいつも「安心・信頼・ポジティブ」。
読んで終わりではなく、使って心地よくなるものを目指しています。

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