こんにちは。臨床経験30年以上の、現役看護師の渋谷です。
「ナースガーディアン」へ、ようこそ。
夜勤明けに、理由もなく涙が出そうになったことは
ありませんか。
職場でのやり取りを、家に帰ってからも何度も思い出
してしまうことはありませんか。
今日は、そんな夜勤と人間関係の疲れにどう
向き合っていけばいいか、同じ現場に立つ一人の看護師として
一緒に考えていきたいと思います。
なぜ夜勤と人間関係は、看護師の心をすり減らすのか

看護師の仕事は、体力だけでなく、心をすり減らしやすい仕事です。
その大きな理由のひとつが、夜勤による生活リズムの乱れです。
日勤・準夜・深夜と、勤務がバラバラに入れ替わることで
食事の時間も、眠る時間も、自分の意思では決められません。
体内時計を乱して働き続ければ、誰の心も体も
多かれ少なかれ不安定になります。
夜勤明けにイライラしやすくなるのも
些細なことで涙が出そうになるのも、あなたの性格が
悪いわけでも、弱いわけでもないのです。
実際、看護職の離職理由を尋ねる各種調査でも、
「健康上の理由」がいつも上位に挙がります。
それだけ、夜勤という働き方そのものが、
心と体に負担をかけるものだということです。
もうひとつの大きな理由が、人間関係の疲れです。
患者さんやご家族だけでなく、医師、先輩・後輩、
多職種のスタッフなど、看護師は非常に多くの人と
関わり続ける仕事をしています。
チームで動く現場である以上、意見のすれ違いや、
感情のぶつかりが生まれるのは、ごく自然なことです。
それでも私たちは、
「プロだから」
「みんなやっていることだから」と
その負担を当たり前のものとして
受け止めてしまいがちです。
けれど、それは、あなたが看護師という仕事に、
これまで真剣に向き合ってきた証拠でもあるのです。
夜勤の疲れと人間関係の疲れは、それぞれ単独でもつらいものですが
実際にはこの二つが重なり合って、
じわじわと心を消耗させていきます。
「体が疲れているから、些細なことでも気になってしまう」
「気持ちがすり減っているから、余計に眠れない」
というように、悪循環に陥りやすいのです。
日本看護協会も「看護職の夜勤・交代制勤務に
関するガイドライン」をまとめ、夜勤の負担を
減らすための勤務の組み方を示しています。
夜勤の疲れは、個人の努力だけで
解決できるものではありません。
「疲れているのに、疲れたと言えない」まじめな人ほど陥る罠

「バーンアウト(燃え尽き症候群)」という言葉を、
聞いたことがある方は多いと思います。
これは特別な人だけがなるものではありません。
むしろ、真面目に、熱心に仕事と向き合ってきた人ほど
陥りやすいと言われています。
看護の現場でよく見られるサインには、
次のようなものがあります。
- 以前は楽しめていたことに、興味が持てなくなった
- 患者さんに対して、以前より感情が動かなくなった気がする
- 出勤前に、強い憂うつ感や動悸を感じる
- 些細なミスを、必要以上に引きずってしまう
- 「辞めたい」という言葉が、頭に浮かぶ回数が増えた
これらのサインは、あなたの適性の問題ではありません。
車のガソリンが減れば給油するように、
心もまた、意識して満たしていく必要がある
というだけのことです。
厄介なのは、人間関係の疲れは、体の疲れよりも
見えにくいという点です。
「今日、人間関係で疲れました」とは、
誰かになかなか言いづらいものです。
だからこそ、一人で抱え込みやすい疲れでもあります。
特に、後輩の指導やリーダー業務を任されるようになった
中堅の看護師ほど、「弱音を吐いてはいけない」
というプレッシャーを、無意識に自分に課してしまう
傾向があります。
「みんな同じように頑張っているのだから」
「自分だけがつらいわけではないはず」。
そう考えて、疲れを見て見ぬふりをしてしまうことは
ありませんか。
しかし、疲れを我慢し続けることは、長期的には、
あなた自身にとっても、患者さんやチームにとっても
良い結果を生みません。
もし、これらのサインに複数当てはまり、
それが2週間以上続いているようであれば、
次の章でお伝えする対処法と合わせて、
専門家への相談も視野に入れてみてください。
今日からできる、心を守る3つの習慣
ここからは、今日からでも始められる、
心を守るための具体的な習慣を3つご紹介します。

ひとつめは、「境界線(バウンダリー)」を引くことです。
真面目で責任感の強い看護師ほど、
「頼まれたら断れない」
「自分がやらなければ」と
あらゆることを抱え込みやすい傾向があります。
しかし、境界線を引くことは、冷たいことでも、
わがままなことでもありません。
自分の心と体を守るための、専門職としての大切なスキルです。
たとえば、休憩時間はきちんと休憩に使い、
記録などの事務作業は勤務時間内に収めるよう意識してみる。
勤務外の時間に、仕事のグループLINEやメッセージを
確認する回数を、あらかじめ自分の中で決めておく。
頼まれごとに、その場ですぐ「はい」と答えるのではなく
一度「確認してから返事します」
と持ち帰ってみる。
こうした小さな一歩から、少しずつ始めてみましょう。
ふたつめは、責めるのではなく観察することです。
「寝ても疲れが取れない」
「休みの日も何をする気力もわかない」。
こうしたサインに気づいたとき、自分を責めるのではなく
「今、こういう状態なんだな」と、
そのまま受け止めてみてください。
できれば、そのときの状態を、簡単にメモに書き出して
みることをおすすめします。
頭の中だけで考えていると、疲れやモヤモヤは、
どんどん膨らんでいってしまうものです。
けれど、いったん言葉にして紙に書き出すだけで、
不思議と少し、心の中が整理されることがあります。
サインに気づけたということ自体が
すでに立て直しの第一歩です。
みっつめは、自分に優しい言葉をかけることです。
「今日も、よくやっている」
「うまくいかない日があっても、それでいい」。
そう、そっと自分にかけてあげてください。
同僚や後輩には自然にかけられる優しい言葉を、
私たちは、自分自身にはなかなかかけてあげられません。
完璧な看護師になる必要はありません。
今日という一日を、なんとか乗り越えたあなたは、
すでに十分にプロフェッショナルです。
それでも辛いときは、一人で抱えないでください
ここまでお伝えしてきたセルフケアは、
あくまで一般的な情報提供であり
医療行為やカウンセリングに代わるものではありません。
気分の落ち込みが2週間以上続く場合や、
「辞めたい」という気持ちが強く続く場合は、
一人で抱え込まず
産業医面談や心療内科など、専門家への相談を
検討してください。
それは弱さではなく、あなた自身を守るための、
専門職としての正しい判断です。
「病院に行くほどではないかもしれない」
「大げさに騒ぎたくない」。
そう感じて、相談することにためらいを覚える方も
多いと思います。
けれど、体調を崩してから初めて専門家に相談するよりも
少し気になった段階で早めに話しておくほうが
結果的に回復も早いことが多いものです。
日本看護協会をはじめ、看護職向けの無料相談窓口も
用意されています。
職場の産業医面談や、地域の心療内科、
精神科なども、選択肢のひとつです。
働く人のための相談窓口は、
厚生労働省の「こころの耳」にまとめられています。
電話やSNS、メールで相談できる窓口もあります。
まずは話してみることから、始めてみてもいいかもしれません。
誰かに話すという行為自体が、思っている以上に、
心の負担を軽くしてくれることがあります。

書き込み式で使える「メンタル立て直しノート」のご紹介
今日お伝えした考え方を、実際に手を動かしながら整理できる
ワークブックを作りました。
その名も「夜勤・人間関係に疲れた看護師のためのメンタル立て直しノート」です。
全5章+クロージングの構成で、夜勤で乱れた自分に
気づくワーク、人間関係の疲れを整理するワーク、
燃え尽きのサインをチェックするセルフチェック、
境界線を引く練習、明日も働ける自分に戻るためのセルフトークなど
この記事でご紹介した内容を、
実際に書き込みながら、より深く自分自身と向き合っていける
内容になっています。
文章を読むだけでなく、手を動かして書き出すことで
頭の中だけで考えているときとは違った気づきが
得られることも少なくありません。
特典として、夜勤明けにそのまま聴ける
「夜勤明けリセット音声」も付属しています。
帰宅後や、布団に入ってから、目を閉じて聴くだけで
大丈夫です。
同じ現場に立つ看護師として、あなたの心が少しでも
軽くなる一冊になればと思い、作りました。

気になった方は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
夜勤の疲れも、人間関係の疲れも
すぐにはなくならないかもしれません。
それでも、「気づく」「書き出す」「自分に優しい言葉をかける」
——今日お伝えしたことは、
確かにあなたを守る力になります。
うまくいかない日があっても大丈夫です。
あなたの毎日の看護が、誰かの安心につながっているように
どうかあなた自身のことも、同じくらい大切にしてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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