夜勤の急変対応、応援を呼ぶタイミングをどう判断するか

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こんにちは、ナースガーディアンの渋谷です。

夜勤中、担当患者の様子がいつもと違うと感じた瞬間
頭をよぎるのは「これはすぐに応援を呼ぶべきか
それとももう少し様子を見るべきか」という迷いではないでしょうか。

日勤帯であれば医師も先輩もすぐそばにいますが
夜勤はスタッフの人数が限られ
判断を一人で背負う時間がどうしても長くなります。

「大げさに騒いで迷惑がられたらどうしよう」という不安と
「様子を見すぎて手遅れになったら」という恐れ
そのどちらも、夜勤経験のある看護師なら一度は抱いたことがあるはずです。

今日はこの「応援を呼ぶタイミング」について
明確な線引きの難しさを認めたうえで
それでも判断の助けになる基準をできるだけ具体的にお伝えします。

ファーストルックでの見極め方、具体的なバイタルの数値基準
そして応援を呼ぶことをためらわなくて済むためのチームづくりまで
順を追ってお話ししていきます。

施設の体制や人員配置によって、実際に取れる対応は変わってきます。
ここでお伝えするのは絶対的な正解ではなく
あくまで判断の軸として持っておいていただきたい考え方だとご理解ください。

廊下でドアの前に立ち、声をかけるべきか迷う看護師の後ろ姿
目次

夜勤の急変対応が、特に判断を難しくする理由


日勤帯であれば、医師や先輩看護師、他職種が院内に大勢いて
少しでも気になることがあればすぐに声をかけて確認してもらえます。

けれど夜勤になると、病棟に残っているスタッフは一人か二人
当直医は院内にいても他病棟や救急対応で身動きが取れないことが
珍しくありません。

施設によっては、当直医が院内におらずオンコール対応のみ
という体制のところもあり、電話をかけること自体に精神的な
ハードルを感じる方も多いはずです。

さらに厄介なのは、情報の少なさです。
自分が担当していない患者や
応援に呼ばれて初めて顔を合わせる患者の場合
普段の状態を知らないまま「いつもと違うのか
それとも元々こうなのか」を判断しなければなりません。

静かな夜の病棟だからこそ
呼吸音の変化やちょっとした表情の曇りに
気づきやすいという利点もありますが
同時にそれが「気のせいではないか」
という迷いを強めてしまう面もあります。

私自身、まだ経験の浅かった頃
深夜の巡視で担当患者の呼吸が普段より
浅くなっていることに気づきながら
先輩に「大丈夫でしょう」と言われて
そのまま様子を見てしまい
後になって肝を冷やした経験があります。

あのとき私は、自分の観察に自信が持てず
先輩の一言に安心してしまいました。
今なら分かりますが
「気になる」という自分の感覚をもう一段掘り下げて
具体的に何がどう違うのかを言葉にして伝えられていれば
先輩の受け止め方も変わっていたかもしれません。

逆に、念のためにと医師を呼んで
結果的に大事に至らなかったことも数え切れないほどあります。

どちらの経験も、今振り返れば私を育ててくれた
大切な時間だったと思っています。

まず知っておいていただきたいのは
夜勤中に判断に迷うのは、あなたの経験不足のせいだけではなく
夜勤という勤務形態そのものが持つ
構造的な難しさによるところが大きいという事実です。

加えて、夜間は検査部門や薬剤部門の対応も日中より限られており
採血結果一つ取るにも時間がかかることがあります。
「今すぐ確定的な情報が得られない中で、どこまで動くか」
という判断も、夜勤特有の負荷だと言えるでしょう。

他病棟からの応援を頼む場合も
相手のスタッフもまた少人数で自分の患者を見ている最中です。
「自分の都合で相手の手を止めてしまうのではないか」
という遠慮が、余計に声をかけづらくさせることもあります。

特に、高齢の患者さんや術後まもない患者さん
複数の基礎疾患を抱える患者さんは
日中は落ち着いて見えても夜間に急変しやすい傾向があります。
担当患者の中に該当する方がいる場合は
夜勤開始時点で「この方は要注意」と意識しておくだけでも
いざというときの反応速度が変わってきます。

こうした事情が重なり合った結果として
夜勤中の判断はどうしても重く感じられるのだと
まずは構造そのものを俯瞰しておくことが大切です。

この構造を理解しておくだけでも
迷ったときに自分を責めすぎずに済むはずです。

ファーストルック(第一印象評価)で「これはまずい」と感じる基準


急変対応の教育でよく使われる考え方に
「ファーストルック」または「第一印象評価」
と呼ばれるものがあります。

患者のもとに駆けつけた最初の数秒間
詳しい検査データを待つ前に、自分の五感を使って
「これは切迫した状態かどうか」を掴むという考え方です。

具体的には、呼びかけへの反応の速さや
声のトーンといった意識の様子、努力様呼吸や下顎呼吸
呼吸数の異常といった呼吸の様子、顔色や唇の色
末梢の冷感や冷汗の有無
そしてぐったりとした体位になっていないかを
瞬時に確認します。

これは、いわゆるABCDEアプローチ(気道・呼吸・循環・意識・体温や外見)
の考え方を、詳細な評価に入る前の
「入り口」として簡略化したものだと捉えていただくと
わかりやすいと思います。

順番通りに全て確認してから動くのではなく
明らかな異常が一つでも見つかった時点で
評価と並行して人を呼ぶ
あるいは緊急コールに近い動きを取ってよい
というのがこの考え方の実践的なポイントです。

これらのどれか一つでも「明らかにおかしい」と感じたら
詳細なバイタル測定を待たずに応援を呼ぶ
というのがファーストルックの基本的な考え方です。

たとえば、声をかけても返事までに数秒の間があく
呼吸に肩や鎖骨まわりの筋肉を使っているように見える
顔色が土気色になっている——こうしたサインが重なっていれば
それだけで「すぐに人を呼ぶ」と決めてよい場面です。

逆に、意識ははっきりしていて受け答えもいつも通り
顔色も悪くないという場合は
バイタル測定や問診を進めながら経過を見るという
選択も取りやすくなります。

大切なのは、数字が正常範囲に収まっているかどうかだけでなく
「この患者さんのいつもの数字と比べてどうか」という視点です。
普段は血圧が高めの患者さんが正常範囲まで下がっているだけでも
その方にとっては危険なサインである場合があります。


ここで大きな武器になるのが
「その患者の普段の状態を知っているかどうか」です。

数字だけを見れば正常範囲内でも
担当している看護師が「なんだかいつもと様子が違う」と感じたなら
その感覚を軽視すべきではありません。

実際、多くの急変は、バイタルサインが崩れる前に
表情や受け答えのわずかな変化として現れることを
私は30年以上の臨床経験の中で何度も見てきました。

一方で、新人のうちはこの「いつもと違う」
という感覚がまだ十分に育っていないことも事実です。

その場合は、感覚だけに頼るのではなく
次の章でお伝えする具体的な数値基準を判断の拠り所に
していただくとよいと思います。

プリセプターやリーダー看護師の立場であれば
新人が「なんとなく気になる」と声をかけてきたときに
それを軽く受け流さずに一緒に確認しに行く姿勢も大切です。
その積み重ねが、新人の中に「いつもと違う」を
見抜く感覚を育てていきます。

「気になる」という言葉を発してくれただけでも
その新人は既に大切な一歩を踏み出しています。
結果的に異常がなかったとしても
「よく気づいたね、確認してくれてありがとう」
と伝えることが、次の「気になる」を言いやすくする土壌になります。

感覚と数値、どちらか一方だけに頼るのではなく
両方を持ち合わせることが、判断の精度を上げていく近道です。

応援要請・医師コールをためらわないための具体的な基準


とはいえ、「いつもと違う」という感覚だけでは
報告や応援要請の判断がつきにくい場面も多いはずです。

そこで参考にしていただきたいのが
多くの施設で取り入れられている
早期警告スコア(NEWSなど)の考え方をもとにした
具体的な数値の目安です。

たとえば、SpO2が90%を下回る
呼吸数が1分間に24回以上または10回未満になる
収縮期血圧が90mmHgを下回る
あるいは普段の値から30mmHg以上低下する
意識レベルが普段よりも明らかに低下する
尿量が急激に減少する
——こうした変化は、応援要請や医師への報告を検討すべきサインとされています。

もちろん、これらの数値はあくまで一般的な目安であり
疾患の種類や患者個々の背景によって基準は変わってきます。
施設によっては独自の早期警告システムやコールの基準を
定めているところもありますので
まずは自施設のプロトコルを優先してください。

また、いきなり医師に電話をするのがためらわれる場合は
まず夜勤リーダーや先輩に一声かけて一緒に評価してもらう
という段階を挟むのも現実的な方法です。
「一人で決めて動く」か「何もせず様子を見る」かの二択ではなく
その間に「誰かと一緒に確認する」という選択肢を持っておくと
判断のハードルはぐっと下がります。

イメージとしては、
①自分で様子を見る、
②リーダーや先輩に相談する、
③医師に報告する、
④緊急コールに準じた対応を取る、
というように、段階を踏んだエスカレーションのはしごを
普段から頭に入れておくとよいでしょう。
今どの段階にいるのかを意識するだけでも
次に何をすべきかが見えやすくなります。

医師へ報告する際は、
状況(Situation)、
背景(Background)、
評価(Assessment)、
提案(Recommendation)
というSBARの型を意識すると
短時間でも要点が伝わりやすくなります。

たとえば
「〇〇病棟の看護師です。
△△さんですが、10分前からSpO2が88%まで低下し
呼吸数も30回に増えています。
既往に心不全があり、先ほどまでは安定していました。
至急診察をお願いできますか」
というように、事実と自分の評価、依頼したいことをセットで伝えると
電話を受けた側もすぐに状況を把握できます。

このとき、電話をかける前に頭の中で一度この型に沿って
情報を整理しておくと
緊張していても要点を落とさずに伝えられます。

ここで、私自身の考えをお伝えしておきたいと思います。

30年以上、看護の現場に立ってきましたが
「念のため」に医師を呼んだことを後悔した夜は一度もありません。

その一方で、「もう少し様子を見よう」
と判断を先延ばしにしたことを悔やんだ夜は、何度もありました。

「呼んで何もなかった」ことは、決して失敗ではありません。
それは、患者さんの安全を守るために正しく機能した証拠だと
私は考えています。

もしあなたの職場に、応援要請を「大げさなこと」として扱う空気があるなら
それは変えていくべき文化だと思います。

応援を呼んだ結果、緊急性が低いと判断されたとしても
それは「経過観察で問題ない」という安心材料が
一つ増えたということです。
空振りも立派な収穫だと捉えていただきたいと思います。

管理者やリーダーの立場にある方には
こうした報告を受けたときに
「そんなことで呼ばなくても」といった言葉を口にしないよう
意識していただきたいと思います。
その一言が、次の「念のため」の報告を消してしまうかもしれません。

一人で抱え込まないための夜勤前後の備えとチーム連携


急変時に落ち着いて判断するためには
夜勤が始まる前の備えが大きな意味を持ちます。

申し送りの段階で、状態が不安定な患者や注意が必要な患者について
具体的にどんな変化に気をつけるべきかまで確認しておくと
いざというときの判断がぐっとしやすくなります。

可能であれば
夜勤開始前に受け持ち患者のカルテにざっと目を通し
直近の経過や既往
普段のバイタルの傾向を頭に入れておくことをお勧めします。
「普段の状態」を知っていることこそが
ファーストルックの精度を支える土台になるからです。

気になる患者がいる場合は
夜勤が始まってすぐに「この方の状態が気になっているので
何かあったら一緒に見てもらえますか」と
先輩や当直医に一声かけておくことも、効果的な備えの一つです。

こうした事前の根回しは
いざ応援を呼ぶときの心理的なハードルを大きく下げてくれます。

チームとしても
「これくらいなら電話していい」
という共通認識を普段から作っておくことが
一人ひとりの判断を後押しする土台になります。

夜勤リーダーやベテラン看護師は、忙しそうにしていても
後輩から声をかけられたときには一旦手を止めて耳を傾ける
という姿勢を意識していただきたいと思います。
その一瞬の対応が、次に迷ったときに声を上げられるかどうかを左右します。

新人や経験の浅いスタッフが多い夜勤帯であれば
あらかじめ「この症状が出たら、判断に迷わずまず私を呼んでください」
と具体的な基準をリーダーから伝えておくのも良い方法です。
判断を丸ごと任せるのではなく
線引きを一緒に決めておくイメージです。


そして、意外と見過ごされがちなのが、夜勤明けの心身のケアです。

判断のプレッシャーを抱えた夜勤の後は
心身ともに消耗しています。
しっかりと質の良い睡眠を確保できるかどうかが
次の勤務での判断力にも影響してきます。

私自身、夜勤明けは光を遮り
少しでも寝具の環境を整えることを意識するようになってから
疲労の抜け方が変わったと感じています。

夜勤明けの睡眠環境を見直したいという方には

脳も体も究極の睡眠を『ブレインスリープ マットレス フロート』

のような、睡眠の質そのものに着目したアイテムを
取り入れてみるのも一つの方法だと思います。

遮光カーテンで日中の光を遮る
スマートフォンの通知を一定時間オフにする
帰宅後すぐに横になれるよう身支度をシンプルにしておくなど
小さな工夫の積み重ねも侮れません。

判断力は、気力だけで維持できるものではありません。
自分の心身を整えることも
患者さんの安全を守るための備えの一部だと、私は考えています。

経験を重ねても迷いは残る、振り返りと記録が判断力を育てる


ここまで具体的な基準をお伝えしてきましたが
正直に言うと、30年以上経験を積んだ今でも
判断に迷う瞬間はなくなりません。

大切なのは、迷わなくなることを目指すのではなく
迷ったときにどう考え、どう動いたかを
その都度振り返っていく姿勢だと思います。

急変対応が一段落した後は
可能であればチームで短い振り返りの時間を持ち
あのときの判断はどうだったか
次はどう動くかを話し合う習慣をつけることをお勧めします。

振り返りといっても、大掛かりな会議は必要ありません。
「最初に気づいたきっかけは何だったか」
「応援を呼ぶまでの時間は適切だったか」
「情報を伝える際に足りなかった点はなかったか」
といった問いを2、3個投げかけるだけでも
チーム全体の学びにつながります。

記録には、バイタルの数値だけでなく
「なぜそう判断したのか」という根拠も残しておく
後から自分の判断のクセを見直す材料になりますし
チーム内での学びの共有にもつながります。

たとえば「顔色不良と反応の鈍さから緊急性ありと判断し
当直医へ即時報告」といった一文を添えておくだけでも
その場にいなかったスタッフが後から
経過を読んだときの理解のしやすさが大きく変わります。

こうした振り返りの積み重ねが
次に迷ったときの「引き出し」を少しずつ増やしてくれます。

もう一つ、お伝えしておきたいことがあります。
夜勤や急変対応のプレッシャーが慢性的に
心身を蝕んでいると感じるなら
それを一人で我慢し続ける必要はありません。

勤務形態の見直しを職場に相談することも一つの方法ですし
今の職場の体制そのものが自分に合っていないと感じるなら
転職という選択肢を検討してみるのも決して
悪いことではないと思います。

「今の職場を辞めるほどではないけれど
このままでいいのかも分からない」
という段階でも、情報収集自体は早すぎるということはありません。

実際に、

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のようなサービスを使えば、夜勤の負担が少ない職場や
応援体制がしっかり整った職場の情報を
在職中でも無理なく集めることができます。

自分の心身を守ることも、長く現場に立ち続けるための
立派なプロフェッショナリズムの一つだと、私は思っています。

まとめ


夜勤の急変対応で、応援を呼ぶべきか迷う瞬間は
経験年数に関係なく誰にでも訪れます。

ファーストルックでの違和感を大切にすること
数値による基準を持っておくこと
そして「呼んで何もなかった」を失敗と捉えない文化を
職場で育てていくこと
——この3つが、判断を後押ししてくれるはずです。

もし今夜、あなたが一人で判断に迷う瞬間を迎えたなら
どうかその不安を一人で抱え込まないでください。

あなたが感じた小さな違和感には、きっと意味があります。
その感覚を信じて声を上げることは
決して大げさでも、経験不足の証でもありません。

ナースガーディアンでは、これからも夜勤や急変対応をはじめ
看護の現場で本当に役立つリアルな情報を発信し続けていきます。
ぜひまた読みに来ていただけたら嬉しいです。

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