「お世話になったお礼を伝えたいけれど、
何から書けばいいのかわからない……」
そんなふうに、手紙の書き出しで手が
止まってしまったことはありませんか。
お中元のお礼、季節のごあいさつ、
久しぶりの方へのお便りそしてときには、
お悔やみの言葉。便箋を
前にして「失礼のない言い方はどれだろう」
「うまく気持ちが伝わるだろうか」と、書いては
消し書いては消してしまう。
そんな経験をお持ちの方は、
決して少なくないはずです。パソコンや
スマートフォンでメールを送るときも事情は
同じかもしれません。文章を考えるだけで肩が
凝ってしまい、結局「今度でいいか」と
後回しにしてしまうこともあるのではないでしょうか。
実は、生成AI(=人間の代わりに文章などを
作ってくれるコンピューターの仕組みのことです)を
使うとこの「手紙の書き出し」に悩む時間をぐっと
減らすことができます。今日は、
ChatGPT(チャットジーピーティー)
という生成AIに手紙やあいさつ文の下書きを
手伝ってもらう方法をはじめての
方にもわかるようにゆっくりご紹介します。
むずかしい操作は一切ありません。スマートフォンで
文字が打てれば、それだけで大丈夫です。
以前の記事で「生成AIって何?」という基本や
旅行の計画をAIに相談する方法をご紹介しましたが
今回はその応用編として「手紙」というとても
身近なテーマを取り上げます。
※本記事の操作手順や画面の様子は、
執筆時点(2026年9月)の情報です。サービスは
日々アップデートされるため実際の画面とは
多少異なる場合があります。
そもそも「手紙の下書きをAIに手伝ってもらう」ってどういうこと?
以前の記事でもお伝えしましたが、
生成AIはたとえるなら「物知りで、文章を
書くのがとても得意な相談相手」のようなものです。
こちらが「こういう手紙を書きたいのだけれど」と
言葉で伝えると、その内容にそった文章の案をものの
数秒で作って見せてくれます。
難しいプログラムの知識や、専門的な操作は
一切いりません。ふだん誰かに相談ごとをするときと
同じように思っていることをそのまま言葉にして
伝えるだけです。
「手紙の下書きを手伝ってもらう」というのもこれと
同じことです。誰に、どんな用件で、どんな気持ちを
伝えたい手紙なのかをAIに
伝えるとそれにふさわしい言葉づかいや
構成でたたき台になる文章を用意してくれます。
もちろん、そのまま使う必要はありません。あくまで
「たたき台」ですから、そこから自分の言葉に
直していく。この使い方が、
いちばん気持ちよく付き合える距離感だと
感じています。
白い便箋を前にして一文字も書けずに
固まってしまう時間とAIが出してくれた案を
「ここはちょっと違うな」と直していく時間とでは、
心の負担がまったく違います。ゼロから文章を
組み立てるのは、実はとても頭を使う作業です。
宛名の敬称、時候のあいさつ、本文の流れ、
結びの言葉と気にかけることがいくつも
重なるからこそ、多くの方が「手紙は苦手」と
感じてしまうのです。AIに最初のたたき台を
出してもらえばあとは「気に入らないところを直す」
だけで済みます。手紙を書くこと自体を、
もう一度気軽なものに戻してくれる。それが、AIに
下書きを手伝ってもらう一番の良さだと思います。
ChatGPTで手紙の下書きを実際に作ってみよう
「手紙の相談をする」ためだけに特別なアプリを
新しく用意する必要はありません。
以前の記事でご紹介した通り、
スマートフォンのアプリストアで「ChatGPT」
と検索してアプリを入れるかパソコンや
スマートフォンのブラウザで公式サイトを
開けばそれだけで準備は完了です。すでに
アカウントをお持ちの方はいつも
通り開いていただくだけで構いません。
画面が開いたら、下のほうにある文字を
入力する場所(入力欄)に伝えたい内容を、
思いつくままの言葉で入力してみましょう。
むずかしく考える必要はありません。誰かに
頼みごとをするときと同じ調子で大丈夫です。
たとえば、こんなふうに書いてみてください。
「先日、旅行のお土産をいただいたご近所の方へお
礼のお手紙を書きたいです。あまり堅苦しくなく、
あたたかい感じの文章にしてください」
このように送信すると、宛名の書き方から、
時候のあいさつ本文、結びの言葉まで、
ひとつづきの手紙の形にして提案してくれます。
出てきた文章を読んでみて、
「もう少し短くしてほしい」
「ここはもっとくだけた言い方がいい」と
感じたらそのまま会話を続けるように伝え直すだけで
AIはすぐに書き直してくれます。一度で
完璧なものを求める必要はありません。
何度でもやりとりしながら少しずつ理想に
近づけていけばよいのです。
最初の案が少し丁寧すぎると感じたら「もっと
普段の言葉で」、逆にくだけすぎていると
感じたら「もう少し丁寧に」と伝えてみましょう。
「文字数を半分くらいにしてください」
「もう少し長く、近況も少し加えてください」
といった注文にも応じてくれます。何度直しを
頼んでも、AIが機嫌を損ねることはありません。
納得のいく一通になるまで遠慮なくやりとりを
重ねてみてください。
実際にどんな文章が返ってくるのかイメー
ジがわきにくいかもしれません。
先ほどの「ご近所の方へのお礼状」
の例であればたとえば「〇〇様 先日は、
旅先のお土産をお届けくださり
本当にありがとうございました。
〇〇様のお心遣いに、
あらためて温かい気持ちになりました。まだ残暑が
続いておりますので、どうぞご自愛くださいませ。」
といった調子の文章が、宛名から結びの言葉まで
一続きで提案されます。この文面を
見て「もう少し自分らしい言葉に直したいな」と
感じたところだけ手直しすれば、それで下書きは
完成です。真っ白な便箋から一人で組み立てるのに
比べるとずいぶん気持ちが
軽くなるのではないでしょうか。

シーン別・使える頼み方の例|お礼状・季節のあいさつ・お悔やみ状
手紙にもいろいろな場面があります。ここでは、
よくある場面ごとに、
AIへの頼み方の例をご紹介します。
そのまま真似して打ち込んでいただいても
構いません。
お礼状を書きたいとき
「〇〇をいただいたお礼状を書きたいです。相手は
昔からお世話になっている友人で
堅苦しくない文章にしてください」というように
贈り物の内容と相手との関係を
伝えるとちょうどよい丁寧さの文章を
提案してくれます。相手が会社の方や
目上の方であれば「取引先の方へのお
礼状できちんとした丁寧な
言葉づかいにしてください」と条件を変えるだけで、
それに合わせた言い回しに調整してくれます。
出来上がった下書きを、お気に入りの便箋に清書すれば
それだけで気持ちのこもった一通になります。
季節のあいさつ状を書きたいとき
「残暑見舞いを書きたいです。相手は遠方に
住む親戚で、近況を軽く触れる文章にしてください」
のように手紙の種類(暑中見舞い、寒中見舞い、
年賀状の一言添え書きなど)と相手との関係を
伝えれば、その時期にふさわしい時候のあいさつから
書き出してくれます。
毎年同じような文章になりがちな季節のあいさつ状も
少し違う言い回しを試せるのは嬉しいところです。
「去年、庭で育てたトマトが豊作だった話を
少し入れてください」のように、身近な出来事を
一言添えるようお願いするとより自分らしい
一文になります。
お悔やみやお祝いの返事を書きたいとき
お悔やみ状のように、言葉選びに特に
気をつかう手紙もあります。
「〇〇様がご逝去されたとのご連絡をいただきお
悔やみのお手紙を書きたいです。失礼のない、
落ち着いた文章にしてください」と
伝えれば丁寧な言い回しの案を用意してくれます。
結婚や出産のお祝いをいただいたときのお礼状も
同じように「誰から」「何のお祝いに」
「どんな品物を」いただいたのかを具体的に
伝えるほど場にあった文章に近づきます。
節目のお祝い・記念日のメッセージを書きたいとき
お子さんやお孫さんの入学・卒業、結婚記念日還暦や
古希のお祝いなど、人生の節目に贈る言葉もAIに
相談しやすい場面のひとつです。
「孫の小学校入学のお祝いに、一言メッセージを
考えてください。祖父母から孫へ向けた、
あたたかい言葉にしてください」のように伝えると、
その場にふさわしい表現をいくつか
提案してくれます。一つに絞れないときは
「他の言い方も見せてください」と頼めば、違う案も
出してもらえます。いくつかの候補から気に
入った表現を選びそこに自分らしい一言を
足していくという使い方がおすすめです。
私は看護師として、患者さんやご家族が大切な人へ
向けて言葉を残そうとする場面にこれまで何度も
立ち会ってきました。うまく言葉にできずに
苦しそうにされている方を見るたびに
「言いたいことを言葉にする」ということ自体が
実はとても大きな力のいる作業なのだと感じます。
AIは、その最初の一歩をそっと
後押ししてくれる道具です。気持ちを代わりに
作ってくれるわけではありませんが言葉を探す手間を
減らしてくれることで本当に伝えたい気持ちに
向き合う時間を少しだけ増やしてくれると
思っています。
自分らしく仕上げるコツと気をつけたいポイント
AIが作った下書きは、あくまで「たたき台」です。
そのまま清書してしまうと、
どこか他人行儀なよそゆきの文章に
感じられることがあります。仕上げのひと
手間として、次のようなことを
意識してみてください。
①いつも使う言い回しに変える:AIの文章は
少し整いすぎていることがあります。
「〜でございます」を「〜ですね」に
変えるなどふだんご自身が使っている言葉に
置き換えるだけでぐっと自分らしい手紙になります。
②具体的な思い出を一言足す:「あのとき一緒に見た花がきれいでしたね」
など、二人だけが知っている出来事を一文加えると
AIには書けない、あなただけの手紙になります。
③声に出して読んでみる:書き上がった文章を声に出して読んでみると
不自然な言い回しや、言い過ぎている箇所に気づきやすくなります。

あわせて、気をつけていただきたい
点もいくつかあります。安心してAIを
使っていただくために、ぜひ覚えておいてください。
①自宅の住所や電話番号などは
入力しない:AIとのやりとりは、便利な反面、
個人情報をそのまま書き
込むことはおすすめできません。宛名や住所は、
AIが作った下書きには入れず、
清書するときにご自身で
書き加えるようにしましょう。
②最新の情報とは限らない:時候のあいさつなど一般的な内容は問題ありませんが、地域独自の風習やマナー、細かい敬語の使い方については、AIの案が必ずしも正しいとは限りません。
心配なときは、ご家族や詳しい方に一度確認してから送ると安心です。
③送る前に必ず読み直す:AIが作った文章にも、まれに言葉の重複や、少しちぐはぐな表現が混ざることがあります。清書の前後で、必ずご自身の目で読み直す習慣をつけてください。
④宛先を間違えたまま覚えさせない:以前のやりとりの内容を、AIが次のやりとりに持ち越してしまうことがあります。
別の人への手紙を作るときは「新しい話です」と一言添えて、前の話と混ざらないようにすると安心です。
もっと学びを深めるために
今回ご紹介した手紙の下書き以外にも
ChatGPTのような生成AIは
日々の暮らしのいろいろな場面で頼りになります。
旅行の計画づくりや、言葉から絵を
作ってもらうことなどこれまでの記事でもいくつかの
使い方をご紹介してきました。一つの使い方に
慣れると、他の場面でも「これもAIに
聞いてみようかな」と自然に応用が
利くようになってきます。たとえば、
年賀状の一言メッセージを
何パターンか考えてもらったり孫やお子さんへ
贈る言葉を相談したりと手紙以外の「言葉を綴る」
場面にも同じやり方が使えます。
誰かを思って言葉を選ぶ時間は、本来、とても
温かいものです。AIはその時間を
奪うものではなく、迷って動けなくなってしまう
手をそっと取って一歩を踏み出させてくれる存在だと
私は感じています。このブログ「はじめての大人の
AI入門」ではこれからも、
生成AIとの付き合い方を
一つずつゆっくりお伝えしていきます。
今日の記事が、大切な人へ手紙を書く気持ちを
後押しできたなら、うれしく思います。
なお、個人情報保護委員会は、生成AIに
入力した個人情報が、AIの学習に
使われる可能性があることなどを踏まえ、
入力する内容に十分気をつけるよう呼びかけています
(生成AIサービスの利用に関する注意喚起)。
名前や住所、電話番号、病名などは、
入力しない習慣をつけておくと安心です。
まとめ
今回は、ChatGPTに手紙やあいさつ文の下書きを
手伝ってもらう方法をご紹介しました。
誰に、どんな用件で、どんな気持ちを伝えたいかを
ふだんの言葉でそのまま伝えるだけで
AIが下書きのたたき台を用意してくれます。
もちろん、そのまま使うのではなくご自身の言葉や
エピソードを加えて仕上げることが
心のこもった一通に近づける一番のコツです。
個人情報を入力しないこと、送る前に
必ず読み直すことにも気をつけながらまずは
身近な方へのお礼状から、気軽に
試してみてください。
もっと学びたい方に向けて、AI入門の教材を
コクアマーケットで紹介しています。

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