「終活を始めたいけれど、
何から手をつければいいのかわからない」
おひとり様からのご相談で、
いちばん多いのがこの声です。
家族がいれば自然に分担されることも、おひとり様は
自分で決めて、頼む相手を
探しておく必要があります。
この記事では、看護師として多くの方の最期に
立ち会ってきた経験と、国の資料をもとに、
おひとり様が今日から始められる5つの備えを
順番にまとめました。
おひとり様の終活は「頼む相手」を決めることから

終活というと、持ち物の片付けやお葬式の準備を
思い浮かべる方が多いかもしれません。
けれども、おひとり様にとってまず大切なのは、
「もしものとき、誰が動いてくれるか」を
決めておくことです。
入院の手続き、治療方針の相談、判断能力が
落ちたときのお金の管理、亡くなった後の手続き。
どれも、家族がいれば家族が担うことが
多い役割です。
この役割を、信頼できる人や制度、サービスに
一つずつ割り振っていくのが、
おひとり様の終活の考え方です。
全部を一度に決める必要はありません。
できるところから、少しずつ進めていきましょう。
備え① 緊急連絡先と、医療の希望を決めておく
まずは、急に入院したときに連絡がつく人を決め、
その人の了解をもらっておきましょう。
財布やスマホのケースに、緊急連絡先、持病、
飲んでいる薬、かかりつけの医療機関を
書いたカードを入れておくと安心です。
次に、もしものときに望む医療やケアを
考えておきます。厚生労働省は、これを
家族など信頼できる人や医療・ケアチームと
前もって話し合う「人生会議(ACP)」
をすすめています。
2018年に改訂された国のガイドラインでは、
話し合いに加わる「家族等」は、
法的な親族関係だけでなく、親しい友人なども
含むとされています。
身寄りが少なくても、信頼できる友人と話し合い、
希望を書いた紙を共有しておくことができます。
看護師としての経験からも、本人の希望が書面に
残っていると、医療チームは本人らしい選択を
支えやすくなります。
かかりつけ医を持っておく
普段の体調や持病をよく知っている、
かかりつけの医療機関を持っておくことも大切です。
体調の変化に早く気づいてもらえるだけでなく、
入院が必要になったときの紹介や、在宅での療養を
考えるときの相談先にもなります。
医療の希望を書いたら、かかりつけ医にも
伝えておきましょう。
備え② 判断能力が落ちたときのお金の管理
認知症などで判断能力が落ちると、預金の出し入れや
介護サービスの契約を一人で行うのが
難しくなります。
そのときに支えてくれるのが成年後見制度で、
厚生労働省の「成年後見はやわかり」でも、ひとりで
決めることに不安がある人の契約や手続きを
支える仕組みとして紹介されています。
元気なうちに自分で選んだ人と
契約しておく「任意後見」なら、誰に何を頼むかを
自分で決められます。
くわしくは成年後見制度の記事をご覧ください。
あわせて、通帳や保険証券、
年金の書類などがどこにあるかを一覧にしておくと、
支えてくれる人が困りません。
備え③ 亡くなった後のことを託す

葬儀や納骨、役所への届け出、公共料金の解約、
部屋の片付けなど、亡くなった後にはたくさんの
手続きがあります。
これらをあらかじめ頼んでおく契約が
「死後事務委任契約」です。
契約のしかたや選び方は、
死後事務委任契約の記事にまとめています。
財産を残したい人や団体がある場合は、遺言を
書いておきましょう。
自分で書いた遺言書は、法務局で
預かってもらう「自筆証書遺言書保管制度」が
使えます(保管の申請手数料は1通3,900円)。
お墓や供養の方法も、元気なうちに
考えておきたいことの一つです。
樹木葬や散骨を考えている方は、樹木葬と
海洋散骨の記事も参考にしてください。
備え④ スマホとパソコンの中を整理する
国民生活センターの注意喚起では、
ロックのかかったスマホやパソコンは、
パスワードがわからないと遺族でも開くのが非常に
難しいこと、サブスクリプションは
解約しない限り請求が続くことが紹介されています。
ネット銀行やネット証券、有料の動画や
音楽のサービスなど、契約しているものを
書き出しておきましょう。
同じ資料では、スマホのパスワードを紙に
書いて修正テープで隠し、
見つけてほしい人にわかる場所に
保管する「スマホのスペアキー」という方法も
紹介されています。
また、AppleやGoogleのアカウントには、
本人が亡くなった後にアカウントに
アクセスできる人を、生前に
指定しておく仕組みがあることも紹介されています。
写真やメールのように残してほしいものと、
見られずに消してほしいものを分けて書いておくと、
託された人も迷わずにすみます。
くわしい整理のしかたは、
デジタル終活の記事にまとめています。
備え⑤ 人とのつながりと相談先を持っておく
終活の準備と同じくらい大切なのが、
日ごろから気にかけてくれる人とのつながりです。
近所の人や友人、通っている趣味の集まりなど、
「最近見かけないね」と
気づいてくれる人がいるだけで、
もしものときの発見や対応が早くなります。
悩みを話せる相手がいないときは、
内閣府の「あなたはひとりじゃない」で、状況に
合った相談窓口を探すこともできます。
介護や暮らしの困りごとは、
住んでいる地域の地域包括支援センターでも
相談できます。
信頼できる友人と「週に一度はメッセージを
送り合う」といった約束をしておくのも、
手軽な見守りになります。
孤独への備えについては、
シニアの孤独対策の記事でもまとめています。
5つの備えを進める順番と、エンディングノートの使い方
どこから手をつけるか迷うときは、「すぐに
起こりうること」から順に進めるのがおすすめです。
- 今週中に:緊急連絡先を決めて了解をもらい、連絡先カードを作る
- 1か月以内に:医療の希望を書き出し、信頼できる人と話し合う
- 半年以内に:お金の書類の場所とスマホの契約を一覧にする
- 1年以内に:任意後見や死後事務委任、遺言など、契約が必要なことを専門家に相談する
考えたことを一冊にまとめておくのに便利なのが、
エンディングノートです。
エンディングノートには
法律上の効力はありませんが、自分の希望や
大切な情報を、託す人に伝える道具になります。
書き方のポイントは、
エンディングノートの書き方の記事で
紹介しています。
気持ちや状況は変わるので、誕生日や年末など、年に
一度は見直す日を決めておくと続けやすくなります。
まとめ|一つずつ「頼む相手」を決めていく
おひとり様の終活は、家族が担う役割を、
信頼できる人や制度、サービスに
一つずつ割り振っていくことです。
緊急連絡先と医療の希望、判断能力が
落ちたときのお金の管理、亡くなった後の手続き、
スマホの中の整理、そして人とのつながり。
まずは、エンディングノートなどに今の考えを
書き出すところから始めてみてください。
終活の準備に使えるエンディングノートなどの
教材は、コクアマーケットの終活カテゴリーで
紹介しています。

コメント