介護する家族のための通院メモの付け方|短い診察で伝わる書き方を看護師が解説

  • URLをコピーしました!

親の通院に付き添って、診察室に入ったとたん、
聞きたかったことを忘れてしまう。

家に帰ってから、「あれも聞けばよかった」と気づく。

介護をしている家族から、よく聞く悩みです。

診察の時間は限られていて、
医師も忙しそうに見えるので、
つい遠慮してしまいますよね。

看護師として長く病院にいた立場から言うと、
要点がまとまったメモは、
医師にとってもとても助かるものです。

この記事では、短い診察でもきちんと伝わる、
通院メモの付け方を紹介します。

目次

なぜ通院メモが大切なのか

診察の場では、医師は限られた時間で、
症状の経過や薬の効き目を確かめようとしています。

ところが、本人は緊張して
「変わりありません」と答えてしまうことがよくあります。

特に高齢の方は、困っていることを我慢したり、
忘れたりしがちです。

そこで、ふだんの様子をいちばん知っている家族のメモが、
医師にとって大切な情報になります。

厚生労働省の研究班も、メモをすすめています

厚生労働省の研究班がまとめた
「上手なお医者さんのかかり方10か条」でも、
伝えたいことをメモして準備することや、
大事なことはメモをとって確認することが
すすめられています。

メモは、遠慮ではなく、
診察をうまく進めるための準備だと考えてください。

通院メモに書いておきたい5つのこと

メモに書くことは、次の5つにしぼると、
短い時間でも伝わりやすくなります。

  1. いちばん困っていること:今日いちばん伝えたいことを、1行で
  2. いつから・どのくらい:「1週間前から」「夜中に3回トイレに起きる」など
  3. 前回の受診からの変化:よくなったこと、悪くなったこと、新しく出た症状
  4. 薬のこと:飲み忘れ、飲みにくさ、副作用かもしれないと思う変化
  5. 聞きたいこと:優先順位をつけて、上から2〜3個

特に大切なのは、数字と具体的な場面です。

「最近、食欲がない」よりも、
「この2週間、朝ごはんを半分残す日が続いている」のほうが、
医師は状態をつかみやすくなります。

テーブルの上に置かれたノートと1週間分のピルケースと紅茶

数字で書けるものは、数字で

家で測れるものは、できるだけ数字で書いておくと、
医師が比べやすくなります。

  • 体重(週に1回、同じ時間に)
  • 血圧(家庭用の血圧計があれば、朝と夜)
  • 食事の量(「いつもの半分」「3割くらい」など)
  • 眠った時間と、夜中に起きた回数
  • 便やおしっこの回数、むくみの有無

毎日すべてを測る必要はありません。

医師から「家で測っておいてください」と言われた項目を中心に、
続けられる範囲で記録しましょう。

メモの例

たとえば、夜中のトイレが増えて困っている場合は、
次のように書きます。

  • 困っていること:夜中のトイレが増えて、本人がよく眠れない
  • いつから:2週間前から。夜に3〜4回起きる
  • 前回からの変化:昼間にうとうとすることが増えた
  • 薬:朝の薬は飲めている。飲み忘れはない
  • 聞きたいこと:①夜のトイレを減らす方法 ②昼間の眠気は薬の影響か

これだけで、医師は「いつから、
何が、どのくらい」をすぐにつかめます。

ふだんの記録は「その日のうちに、短く」

通院の前日にまとめて思い出そうとしても、
細かいことは忘れてしまいます。

ノートやスマートフォンのメモに、
気づいたことを日付と一緒に1行ずつ書いておくだけで十分です。

  • 「10/3 夜、トイレに3回起きた」
  • 「10/5 ふらつきあり、手すりにつかまって歩いた」
  • 「10/8 血圧の薬を飲み忘れた(朝)」

こうした短い記録が、通院の前に
「前回からの変化」をまとめるときの材料になります。

そのまま使える通院メモのひな形

ノートやスマートフォンに、次の枠を写して使ってみてください。

  • 受診日:  月  日( ) 病院・科:
  • 今日いちばん相談したいこと:
  • いつから・どのくらい:
  • 前回の受診からの変化(よくなったこと/悪くなったこと/新しい症状):
  • 家で測った数字(体重・血圧・食事の量・眠り・トイレ):
  • 薬のこと(飲み忘れ・飲みにくさ・気になる変化):
  • 聞きたいこと(優先順に):①  ②  ③
  • 先生から言われたこと(その場で書く):
  • 次の受診日・次までに記録しておくこと:

最後の2つは、診察室の中で書く欄です。

受診の前は上の6つ、受診中と受診後は下の2つ、と分けておくと、
一枚で「伝える」と「聞いたことを残す」の両方ができます。

メモは「1枚に収める」

書きたいことがたくさんあっても、
診察で使うメモは1枚に収めましょう。

長いメモは、医師が読む時間がかかり、
かえって大事なことが埋もれてしまいます。

ふだんの記録はノートに残し、
受診の前日に、
そこから大事なことだけを1枚に書き写す
のがおすすめです。

診察室での伝え方

メモがあっても、診察室で読み上げるだけでは
時間が足りなくなることがあります。

次の順番を意識すると、話がまとまりやすくなります。

  1. 最初に「今日はこれを相談したい」と、いちばん困っていることを伝える
  2. メモを見ながら、経過と変化を短く伝える
  3. 最後に、聞きたいことを優先順位の高いものから聞く

メモそのものを医師に見せて、
「家での様子を書いてきました」と渡すのも一つの方法です。

説明を聞いたら、その場で書き留める

医師の説明は、その場では分かったつもりでも、
帰るころには忘れてしまいがちです。

薬の飲み方、次の受診日、
気をつけることなど、大事なことはその場でメモしましょう。

分からない言葉があれば、
「もう一度教えてください」と聞き返してかまいません。

受診の前日にやっておくこと

前日には、ふだんの記録を見返して、
メモの5項目を埋めておきます。

持ち物も前日にそろえておくと、当日あわてずにすみます。

  • 保険証(マイナ保険証)と診察券
  • お薬手帳
  • 通院メモ
  • ほかの病院の検査結果や紹介状(あれば)

お薬手帳は、複数の病院や薬局にかかっているときほど大切です。

飲んでいる薬を一冊にまとめておくと、
飲み合わせや重なりを確認してもらいやすくなります。

市販薬やサプリメントも書いておく

病院で出された薬だけでなく、
市販の薬やサプリメント、健康食品を使っている場合も、
メモやお薬手帳に書いておきましょう。

飲み合わせによっては、
医師や薬剤師が注意する必要があるものもあります。

また、飲めずに残っている薬(残薬)がたくさんあるときは、
恥ずかしがらずに伝えてください。

飲みにくさの理由が分かれば、
薬の形や飲む回数を見直してもらえることがあります。

薬局の薬剤師にも、残っている薬のことを相談できます。

急に様子が変わったときは

いつもと違う急な変化があるときは、
次の通院日を待たずに、
かかりつけの医療機関に電話で相談してください。

夜間や休日に受診するか迷ったときは、
地域によっては救急安心センター(#7119)で相談できます。

電話で相談するときも、通院メモと同じように、
「いつから」「どのくらい」を伝えると話が早く進みます。

付き添い方に悩むとき

認知症の親の通院

認知症のある親の受診では、
本人の前では言いにくいこともあります。

「最近、物を盗られたと言うようになった」など、
本人が傷つくかもしれない内容は、
受付で看護師にメモを先に渡しておく方法があります。

本人の気持ちを守りながら、医師に必要な情報を伝えられます。

付き添えないとき

仕事などで付き添えない日もあると思います。

そのときは、通院メモを本人に持たせ、
「これを先生に見せてね」と伝えておきましょう。

診察のあとに、本人から「何と言われたか」を聞きとり、
メモに書き足しておくと、次の受診につながります。

気になることがあれば、
かかりつけの医療機関に家族から電話で相談することもできます。

医師に聞いておきたい質問の例

何を聞けばよいか分からないときは、
次の質問を参考にしてください。

  • この症状は、様子を見てよいものですか。どんなときに連絡すればよいですか
  • 新しい薬は、何のための薬ですか。気をつける副作用はありますか
  • 日常生活で、気をつけることや控えることはありますか
  • 次の受診はいつですか。それまでに記録しておくとよいことはありますか

特に、「どんなときに連絡すればよいか」を聞いておくと、
家に帰ってからの不安が小さくなります。

受診の結果を、介護の関係者と共有する

介護サービスを使っている場合は、
受診の結果をケアマネジャーにも伝えておきましょう。

薬が変わった、歩くときに気をつけるよう言われた、といった情報は、
デイサービスや訪問介護のスタッフにとっても大切です。

通院メモに、その日の医師の説明を書き足しておけば、
そのまま共有する材料になります。

本人の気持ちも大切に

家族が代わりに話しすぎると、
本人が置き去りになってしまうことがあります。

できるだけ、最初は本人に話してもらい、
足りないところを家族がメモを見ながら補う形がおすすめです。

また、本人が家族の前では言いにくいこともあります。

看護師にお願いして、
本人と医師だけで話す時間を少しもらうのも、
ひとつの方法です。

記録を続けやすくする工夫

介護の記録は、続けることがいちばん難しいものです。

書く項目をあらかじめ決めておく、
通院の前日に5分だけ見直す時間をとる、
など自分なりの決まりをつくると続けやすくなります。

記録の整理に手間をかけたくない方のために、
通院や体調の変化をカテゴリ分けして記録し、
医師への報告文の形にまとめられるツールもつくりました。

介護する家族のための教材(コクアマーケット 介護系)

まとめ

通院メモは、遠慮ではなく、
短い診察を上手に使うための準備です。

いちばん困っていること、
いつから・どのくらい、前回からの変化、
薬のこと、聞きたいこと。

この5つを、数字と具体的な場面で書いておくと、
医師に伝わりやすくなります。

そして、本人の気持ちを大切にしながら、
家族はメモで補う役に回るのがおすすめです。

介護をしている方の毎日が、
少しでも楽になる手がかりになれば幸いです。

参考にした資料

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

AIナースコンシェルジュ|てっぺい
30年の医療・介護経験と看護師としての知識を土台に、AIを使いこなしながら「暮らしを整えるヒント」と、AIで作ったお役立ちデジタル商品をお届けしています。
無添加食品・美容・スピリチュアルなど、テーマは様々でも軸はいつも「安心・信頼・ポジティブ」。
読んで終わりではなく、使って心地よくなるものを目指しています。

コメント

コメントする

目次